小児医療は独自の部門として存在することも多い、特殊性の高い分野だ。
子どもは肉体的、あるいは精神的に未熟な部分が多く、大人の投薬量をただ減らせば良いというものではない。また、治療をおとなしく受けてくれなかったり、大人の患者以上に親類縁者の協力が治療に不可欠であったり、その治療には大人の治療とは異なる配慮や工夫が必要になる。
子どもの家族との連携は特に重要だ。治療の自己決定が子どもでは行えないケースもあるだけに、家族としっかり話し合う必要がある。
また、手術は身体が小さい子どもに対して行うため、細かな手技になることも多い。そのため、それなりの実力が必要とされる分野でもある。

しかし、小児医療には独特の魅力がある。それは、患者が子どもであるため、治療がうまくいくとその後の長い人生を救うことができる、という点だ。
もちろん、成長した際、極力治療の影響が残らないようにしなくてはならない。そのような苦労はあるものの、上手く治療できれば多くの子どもは元気に生活し、たまにフォローのための外来で顔を見かけた際に笑顔を見せてくれるはずだ。
小児医療では成人に対する医療とは異なり、患者の治療後には長い人生が待っている。医者や看護師を続けている限り、その人生に寄り添えるのが、小児医療の最大の魅力だ。
家族にとって最愛の子どもを預かるという覚悟が必要な反面、医療の喜びを長く感じていられる部門だと言える。